札幌教会・日本キリスト(基督)教団・プロテスタント教会

北海道札幌市中央区にある伝統的な教会

聖書のお話し

「クリスチャンなのに」

更新日:2025.6.2

ルカによる福音書 第19章1-10節

田村 敏紀 伝道師

「ザアカイさん」、と聞くと、私達は何となく、ほっとします。ザアカイさんには、どこか親しみが持てるのです。しかし、実際のザアカイさんはどのような人物なのでしょうか。
ザアカイは徴税人であり、支配者であるローマ帝国に代わり、同胞のユダヤ人から税金を取り立てる仕事を請け負っておりました。既定の税金以上のものを集め、その余分の金額を自分の収入として私腹を肥やしていたのです。ましてザアカイは、その徴税人の「頭」でした。人を騙して、必要以上のお金を集める詐欺集団のリーダー格がザアカイだったのです。
そんなザアカイが、なぜ、主イエスを、「見よう、とした」、のでしょうか。そこには18章で徴税人が神殿で祈った「神様、罪人の私を、憐れんでください」に通じる思いがあったのです。
犯罪人ザアカイの家に泊まった主イエスを人々は非難します。当然です。ここには、直接、主イエスの反論は記されておりませんが、主イエスの反論としては主イエスが徴税人レビを弟子にした時の、あの言葉が考えられます—
「医者を必要とするのは、健康な人ではなく、病人である。私が来たのは正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである」(ルカ福音書第5章31節)。
ここで主イエスは、ご自分がこの世に来たのは、「正しい人のためではなく、罪人のために来たのである」と明言しております。私達の常識とはまったく逆です。
主イエスがこの世に来られた最大の理由は、社会の不平等とか、不条理とかを正すためではありません。勿論、それも大事なことです。しかし、主イエスが来られた最大の目的は、失われたものや罪あるものを捜して、救い出すためでした。そのために、主イエスはこれからエルサレムに入り、ご自分の命を捧げようとなさっておられるのです。
その罪人の一人一人として私達がいるのです。ザアカイは私たちなのです。神様から離れて独りよがりに生きてきた私達なのです。家に招き入れた主イエスから「今日、救いがこの家を訪れた」と言われるように、主を呼び求めたいものです。アーメン

(2025年5月25日礼拝説教より)

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