札幌教会・日本キリスト(基督)教団・プロテスタント教会

北海道札幌市中央区にある伝統的な教会

聖書のお話し

「一つになる主イエスの恵み」

更新日:2025.5.12

使徒言行録第15章1-11節

酪農学園宗教主事 朴 美愛 牧師

教会史に分岐点として大きな影響を与えたエルサレム教会で行われた協議会は、教会の宣教協議会のルーツだと言えます。この会議を境に福音はエルサレムのユダヤ人から、地の果てに至る異邦人まで広がることになりました。
パウロらはイコ二オン(トルコ地域)などでみ言葉を語った後、アンティオキア教会へ戻って神が行われた全てのことと、異邦人にも福音が開かれたことを報告しました。そのとき、「ある人々がユダヤから下って来て、モーセの慣習に従って割礼を受けなければ、あなたがたは救われない」(1節)と言いました。慣習に従って割礼を受けることは宗教的儀式で、当時ユダヤ人である印で、『救われるためにはユダヤ人になれ』とのことです。『主イエスの十字架の贖い、その恵みによって救われる』と教えられてきた教会には、衝撃的なことで動揺が起きました。パウロらは彼らに激しく反論し、意見の対立と論争が生じました。
それで、問題の解決のために母教会のエルサレム教会で協議会が行われたとき、ペトロは「神は異邦人にも聖霊を与えて、心を信仰によって清め、私たちと異邦人の間に何の差別をもなさいませんでした」と体験(使徒言行録第10章)を伝えて証明し、「主イエスの恵みによって救われると信じている、これは異邦人も同じことです。」(11節)と言いました。これは決定的な発言でした。
私たちが救われるに相応しい何かを満たしているように思っていたり、他人に押し付けたりすると、それは『福音ではなく』、『割礼や慣習』を固執していたユダヤ人と同じであります。福音はすべての壁を取り壊し、『一つになる主イエスの恵み』です。「実に、キリストはわたしたちの平和であります。二つのものを一つにし、御自分の肉において敵意という隔ての壁を取り壊し、規則と戒律ずくめの律法を廃棄されました」(エフェソ第2章14~15節)。私たちは『一つになる主イエスの恵み』に生きています。沢山の会議が会議のためではなく、教会を新たな恵みと命の道へと導く集いになりますように。アーメン

(2025年5月4日礼拝説教より)

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