「恐れの中の希望の賛歌」
更新日:2024.12.23
ルカによる福音書第1章46-56節
酪農学園宗教主事 朴美愛牧師
天使から、「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。」(30-31節)と、告げられました。この知らせは婚約中でいるマリアには神からの恵みどころか、ありえない、あってはならないことでありました。マリアが描いているこれからの人生が壊れてしまう恐れの知らせで、戸惑い不安で気を失うことでありました。
おとめが身ごもるとは前代未聞です。しかし、神は天地万物を創造された方です。私たちにいのちを与えてくださる方です。神に何一つできないことはありません。信じて受け入れるか、どうかのことです。
マリアはこの出来事に『恐れの中の希望の賛歌』をします。信仰告白です。神の救いのご計画のために、身分の低い田舎の平凡な少女である自分が用いられたことを賛美します。それは神のなさることがすべてわかったからではありません。喜んで受け入れたことでもありません。ただ、神の力、神がなさることだから恐れの中でも従い賛美します。
そして、神の憐れみは代々に主を畏れる者、すなわち、全ての人、私たちにも及ぶと希望を与えているのです。この賛歌は神が権力も、力も、貧しく、心も体も飢えている小さい者に目を留めてくださるという、苦しみと絶望に落ちて恐れている人々に秘められている『希望』の賛美であります。
アドヴェント、新たに希望へと導かれる季節です。この私たちも神の憐れみによって選ばれ、イエスさまに出会い、生かされて、小さくてもみ心のために用いられているでしょう。
世の中は続いている戦争や紛争、様々な災害や危機などで苦しみの多い暗闇の世界になっています。救い主としてお生まれになったイエスさまのお生まれによる希望、平和、喜び、愛の道へと私たち、そして世界の人々が導かれますように祈りを持って、このときを過ごし、一人でも多くの人と喜び祝うクリスマスを迎えましょう。アーメン
(2024年12月15日礼拝説教より)