札幌教会・日本キリスト(基督)教団・プロテスタント教会

北海道札幌市中央区にある伝統的な教会

聖書のお話し

「福音の力」

更新日:2023.11.6

ローマの信徒への手紙 第1章14-16節

酪農学園宗教主事・朴美愛牧師

1517年10月31日、ヴィッテンベルク大学の神学教授であった司祭マルティン・ルターは大学教会の扉に「免罪の効力を明らかにするための討論」を題にした95カ条の項目が書かれた一枚の紙を張り付けました。当時、教会では信徒が果たすべき罪の償いに「善い行い」を求める制度がありました。その一つが『免罪符』を買うことでした。「善い行い」によって罪が赦されるのかと、疑問を投げかけていたルターは、ローマの信徒への手紙第1章17節、「正しい者は信仰によって生きる」から解答を発見したのです。このような事はルターの予想を超えて、宗教改革に繋がり、プロテスタント教会の誕生と世界歴史の変化までもたらしました。
宗教改革の中心には「私たちの救いは信仰のみ」、「信仰の標準は聖書のみ」、「罪の赦しは神様の恵みのみ」と、3大原理があります。罪が赦され正しい者になって生きることは福音(主イエスの十字架の贖い)の力による信仰のみであると。この福音は民族や性別や身分などを超えるすべての人に平等で、差別はないのです。すべての人はただ信仰よって、罪から赦されて、生かされる福音の力を頂くのです。そして、この福音の力は、人、社会、世界を完全に変化させる大きな力なのです。
多くの人々は科学が発展した今の時代に神を信じることは愚かなことだと、変わった人だと、神頼みの意志の弱い人たちだと思うかも知れません。しかし、福音は信じるものすべてに救いをもたらす神の力です。私たちは福音の力によって生きているでしょうか。私たちにとって福音は恥ではなく、誇り、力なのです。私たちは福音の力によって救われた恵みを感謝し、喜ぶのです。
「あなたがたは、選ばれた民、王の系統を引く祭司、聖なる国民、神のものとなった民です。」(ペテロ一第2章9節)。そして、私たちにも果たすべき責任があるでしょう。福音の力によって与えられる日々を福音の証人として生きるものでありますように祈り願います。アーメン。

(2023年10月29日礼拝説教より)

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