札幌教会・日本キリスト(基督)教団・プロテスタント教会

北海道札幌市中央区にある伝統的な教会

聖書のお話し

「敵をも赦す主イエスの祈り(十字架の七言1) 」

更新日:2023.2.20

ルカによる福音書第23章32~43節

小林克哉 牧師

聖書には十字架の上でイエスさまが発せられた7つの言葉が記録されています。その最初の言葉は「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。」(34節)です。わたしたちのための言葉です。
イエスさまは「彼らをお赦しください」と祈られました。条件付きの赦しではありません。自分が犯した罪の重さがよく分かり、更生したら、次に赦しが与えられるというのではないのです。わたしたちが生きている世界では、まず反省が先であり、心からの謝罪が先だと考えるのが普通です。その上で赦しがあるのです。しかしイエスさまの祈りは違います。赦しが先にあるのです。
もう一人の犯罪人が出てきます。イエスさまが一言も反論せず忍耐するお姿を見たからでしょうか。あるいはイエスさまの祈りを聞いたからでしょうか。この犯罪人は願いました。「イエスよ、あなたの御国においでになるときには、わたしを思い出してください」(42節)。自分が何をしているのか、何を求めてしまっているか分かっているでしょうか。しかしです。「するとイエスは、『はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる』と言われた。」(43節)
イエスさまはこの人のためにも「父よ、彼らをお赦しください」と祈られ、罪が赦されるために身代わりとなって十字架につかれたのです。この人は一方的に罪赦され、イエスさまと共にいるのです。罪赦されイエスさまと共にいるところ、それが楽園でしょう。罪赦されイエスさまと共にいる、それが神の国でしょう。その楽園が「今日」与えられている約束であり宣言なのです。
わたしたちは、わたしの身代わりに御子イエスさまが十字架で死ななければならないほどの罪を犯していることが本当に分かっているとは言えないでしょう。しかし十字架のイエスさまの祈りがまずあるのです。十字架のイエスさまの宣言があるのです。「あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」。この礼拝において、わたしたちは罪赦されイエスさまと共にいるのです。「今日」、イエスさまの永遠の神の国の救いの約束と宣言が実現し、既に始まっているのです。アーメン

(2023年2月12日礼拝説教より)

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