札幌教会・日本キリスト(基督)教団・プロテスタント教会

北海道札幌市中央区にある伝統的な教会

聖書のお話し

「二つの奇跡」

更新日:2017.1.16

マタイによる福音書9章18-26節(新P16)

牧師 米倉 美佐男

ガダラ人の地での働きを終え、主イエスがカファルナウムに戻られた時の出来事の一つです。主イエスのもとにある指導者がきてひれ伏して言いました。「わたしの娘がたったいま死にました。でも、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、生き返るでしょう。」求めに応じてイエスは立ち上がり、彼について行った。弟子たちも従いました。今日の話はここから始まります。

続いて、12年間も患って出血が続いている女が近寄って来て、後ろからイエスの服の房に触れた。触れば治ると信じてそのようにしたのです。イエスは振り向いて、「娘よ、元気になりなさい。あなたの信仰があなたを救った」(22節)。その時、彼女は治った。この女性は伝説ではベロニカと呼ばれています。彼女は長い病のために時も金も失い苦しみの中で、イエスに最後の望みをかけたのです。ユダヤ人たちの間ではえらい祭司の衣の房(ツィツィット、民15・38-40)に特別の癒しがあると思われていたのです。

指導者の家に着きました。笛吹く者、騒いでいる群衆がいました。娘の死を弔っていたのです。「あちらへ行きなさい。少女は死んだのではない。眠っているのだ。」人々はイエスをあざ笑いました。彼らを外に出し、イエスは家の中に入り、少女の手を取って起こします。少女は起き上がったのです。死んだ娘が主イエスによって生き返らされ、12年間の長血の女性が癒されました。ここではっきり言えるのは、主イエスはまことの救い主だという証言です。この二つの奇跡記事が示すのは主の御業の一つ一つの素晴らしさと、信仰をもって諦めずに求めるならば必ず必要な救いが与えられるとの希望です。指導者の信仰も長く病に苦しんだ婦人も共に謙遜な求めをしました。その姿勢は見習うところがあります。けれどもそれ以上に主イエスの懐の深い憐れみと慈しみが苦しむ者に慰めを与え希望を与えてくださるのです。

(2017年1月8日主日礼拝説教より)

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