札幌教会・日本キリスト(基督)教団・プロテスタント教会

北海道札幌市中央区にある伝統的な教会

聖書のお話し

「元気を出しなさい」

更新日:2011.5.1

使徒言行録27章13-44節

牧師:米倉 美佐男

南風が吹いて来たのでパウロたちの乗った船はクレタ島の沿岸に沿って進みました。しかし、パウロの心配が的中しエウラキロンと呼ばれる暴風に襲われます。エウラキロンはクレタ島の山の上から吹き降ろす東北東の突風です。海上にあって嵐に会う危険性は陸にあっての比ではありません。嵐に遭遇した船の中では上に下への大騒ぎです。なすすべもなく嵐に身をゆだねるしかありませんでした。
カウダという小島の陰で、小船を本船にくくりつけ、浅瀬に乗り上げて遭難しないように錨をおろして嵐を回避しようとしました。積み荷や船具まで棄てなければならなくなり、幾日もの間太陽も星も見えず、暴風は治まらず絶望的な状況でした。助かる望みが消えようとしていました。

その時、パウロが登場して言いました。私の忠告を聞いていればこんな危険に会わずにすんだ。でも今それを言っても始まらない。こんな時こそ「元気を出しなさい。」希望を失ってはならないと。船は失うでしょう。しかし、だれひとり命を失う者はここにはいません。みな助かる。と、言うのです。それが神のお告げであると。この箇所から聞かねばならないことは、神の言葉を聞かずに起こった災害を乗り越えるには神の言葉に聞き従うしかないのです。

「恐れるな、元気を出せ」との主のみ声を聞くのです。「わたしに告げられたことはその通りになる」これが教会の語らなければならないメッセージです。絶望の中に、暗闇の中にまことの希望の光が備えられるのです。漂流14日目の夜、アドリア海を漂い朝になってどこかの陸地に近づいたところで船は座礁してしまいます。けれどもパウロの言葉通り全員が無事助かりました。すべてが神の導きによってみ旨のままに必要な備えが確実に与えられたのです。その人その人に応じた仕方で救いの道が備えられるのです。み旨を求め、神を畏れ崇めて歩む時に必要な力が与えられるのです。

(2011年5月1日礼拝説教より)

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