「キリストの近くへと(マタイ62)」
更新日:2025.8.4
マタイによる福音書 第14章22‐36節
小林 克哉 牧師
今日の御言葉は、イエスさまが湖の上を歩いて、逆風に悩む弟子たちの舟に近づいて来られた出来事です。「イエスはすぐに彼らに話しかけられた。『安心しなさい。わたしだ。恐れることはない。』すると、ペトロが答えた。『主よ、あなたでしたら、わたしに命令して、水の上を歩いてそちらに行かせてください。』」(27-28節)ペトロはキリストのお側近くに行かせて欲しいと願いました。
わたしたちも逆風に悩む弟子たちのもとに、湖の上を歩く奇跡をなしてまで近づいて来てくださるキリストの近くへと行きたいのです。十字架でわたしたちの身代わりとなって死なれるほどにわたしたちを愛し、わたしたちを罪と死から贖ってくださるキリストの近くへと行きたいのです。
「イエスが『来なさい』と言われたので、ペトロは舟から降りて水の上を歩き、イエスの方へ進んだ。」(29節)ペトロは人間の力ではあり得ない仕方でキリストへと近づいて行きます。ところが、キリスト以外に目が向くと途端に沈んだのです。「強い風に気がついて怖くなり、沈みかけたので、『主よ、助けてください』と叫んだ。イエスはすぐに手を伸ばして捕まえ」(30-31節)られた。
キリストの近くへと、だれも自分の力では行くことはできないのです。ただキリストの方から近づいて来てくださり、キリストの方から語りかけてくださり、キリストの方から手を伸ばしてくださる。そのようにしてわたしたちはキリストの御側近くにいる者とされるのです。
「そして、二人は舟に乗り込むと、風は静まった。舟の中にいた人たちは、『本当に、あなたは神の子です』と言ってイエスを拝んだ。」(32-33節)今日、わたしたちも教会という舟の中に入れられ信仰を告白し礼拝をささげています。わたしたちの方からイエスさまに近づくことができなくても、イエスさまのほうから近づいて来てくださり、今日も逆風に漕ぎ悩んだり、沈みそうになる人生の歩みの中にいるわたしたちに、「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」と語りかけてくださっているのです。アーメン
(2025年7月27日礼拝説教より)