「隠されていた天の国が(マタイ58)」
更新日:2025.7.9
マタイによる福音書 第13章31‐35節
小林 克哉 牧師
イエスは・・・言われた。『天の国はからし種に似ている。人がこれを取って畑に蒔けば、どんな種よりも小さいのに、成長するとどの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て枝に巣を作るほどの木になる。』」(31-32節)からし種はあまりにも小さいので、土に蒔くとどこにあるか分からなくなります。しかし成長すると2、3メートルに成長し鳥が宿るほどになります。
「『天の国はパン種に似ている。女がこれを取って三サトンの粉に混ぜると、やがて全体が膨れる。』」(33節)パンの生地を発酵させるパン種。三サトン(約38リットル)は100人分以上のパンです。家庭の食事でなく祭儀や祝宴のパンであり、天の国の祝宴のイメージです。「混ぜる」は隠すとも訳せる言葉です。パン種は隠れていますが確かに働いており大きな影響をもたらし、人を生かすパンを与えるのです。
「それは、預言者を通して言われていたことが実現するためであった。『わたしは口を開いてたとえを用い、天地創造の時から隠されていたことを告げる。』」(35節)神の救いのご計画は人間の目に、この世界の中に隠されているのです。しかし神は天地創造の時から救いのご計画をお持ちであり、その救いの御業を進めておられるのです。悪がはびこり、争いがあり、災いがあります。しかしこの世界において、神の救いのご計画は確実に進んでいるのです。
洗礼志願した方がいます。小さな頃に家族により御言葉が蒔かれていたのです。青年から社会人となり今に至るまで天の国の力、御言葉の種は隠れていましたが、最近不思議にわたしたちの教会に導かれました。数十年の時を経て今枝を張り宿り、全体が膨れて命をもたらすものとなったのです。小さく見えないからし種は成長し、隠れているパン種は大きな影響をもたらすのです。天の国はそのようなものだと言われます。人間が自分の力によって天の国を手に入れるのではないのです。天の国の力がわたしたちの内にあって生きて働き、救いをもたらすのです。アーメン
(2025年6月29日礼拝説教より)